ベトナムの子会社から利益還流する方法

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ベトナムの子会社から利益還流する方法


はじめに

親会社が日本にあり、子会社がベトナムにある。という場合に子会社の利益を親会社に還流するにはどのようにすればいいか。利益還流の方法は大きく分けて「配当」と「利息」の2つある。ほかにも方法は考えられるが、今回は要点である「配当」と「利息」について解説していく。

配当

子会社の利益余剰金を原資として支払われる配当金を親会社が受領することによって利益還流する方法である。利益余剰金を原資として株主に配分するお金が配当金といえるのでこの方法であれば株主に対する利益還流を行うことができる。なお、配当の有無や金額については株主総会にて決議される。

条件

配当を行うためにはベトナムにて以下の3点が満たされる必要がある。

1、納税義務が完了している

2、監査済み財務諸表及び法人税確定申告書を税務当局へ提出している事。

3、累計損失がないこと

配当による課税金額

もし親会社が子会社から受け取った配当金が親会社の利益と見なされれば、課税対象になってしまう。納税後であれば二重課税になってしまうので「外国子会社配当益金不算入」という制度がある。

利息

利息による利益還流は親会社が子会社に対して貸付を行い、その利息を受け取るという「親子ローンの利息による利益還流」である。親会社が子会社に貸付を行う際の原資は親会社の余剰金の場合や借入金の場合もある。

条件

親子ローンを行う条件

借入期間が1年以内の短期ローンと1年以上の長期ローンがあり、後者はベトナム当局にて報告する義務が伴う。以下、長期ローンの条件である。

1、貸付金額の上限を超えていない

2、中央銀行に報告している

3、貸付利息が適切であること

貸付・利息による課税金額

親会社は受け取り利息が課税対象になるため、日本の税率に応じた金額を収める義務がある。

子会社は支払う利息を費用として算入することが可能となっている。また、べトナムの子会社が外国の親会社に利息を払うごとに支払う利息の5%の外国契約者税を納める義務が生じる。

最後に

今回はベトナムに子会社を置いた場合の利益還流の方法を解説した。 

詳しくはこちらの記事を参考にしていただきたい。

ベトナム子会社・現地拠点からの利益還流の方法:配当金か受取利息か | VietBiz(ベトビズ)

 

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アパレル業界の中心にいる新興国ベトナム

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アパレル業界の中心にいる新興国ベトナム

はじめに

かつてはアパレル製品の生産のコアを担っていた中国だが、人件費高騰や政治的不安定さから各国で「チャイナプラスワン」という考えが広まった。その結果、新たな製造拠点としてベトナムに移行している企業が近年増加している。

ベトナムに替わった訳

ベトナムに拠点を置く最大のメリットは人件費の安さにある。JETROの調査によると中国が441米ドルであるのに対し、ベトナムは216米ドルという半分ほどの相場である。また、ベトナムは製造拠点だけにとどまらず、消費市場としても注目されている。人口増加や経済発展、EC市場の拡大などが関わっていると考えられる。

海外ブランドの参入

ベトナムのアパレル業界にはZARAH&Mといった有名ブランドが続々と参入している。ベトナム人は外国ブランドを好む風潮が強く、自国ブランドよりも価格が2~3倍であっても、海外ブランドの洋服などを買う傾向がある。

苦しむベトナムブランド

海外ブランドを好む傾向は自国のアパレル企業を苦境に追いやっていることになる。ベトナムのアパレル企業は家族経営が多く、流行を作っていく海外ブランドとは競争力が著しく低くなっている。自国ブランド存続のために「国産の製品を使おう」という考えも促されてはいる。しかし、必要なことは「流行を追うこと」ではなく「常に新しいデザインを生むこと」とも言われている。

ベトナムアパレル市場の問題点

外国ブランドが参入するにあたり、中国やタイから安価な模造品が流れるという「偽物問題」が起こっている。デザインは瓜二つだが、値段が3分の1であり、オンラインショップでは見極めが困難となっている。

参入にあたり

ベトナムのアパレル市場はまだまだ、未開拓の場所が多い。ベトナム人の嗜好や消費行動、トレンドなどを常に把握していないと、衰退していく企業もある。しっかりとした市場調査が必要になってくると思われる。

最後に

今回はベトナムのアパレル市場について述べた。

詳しくは以下の記事を参考にしていただきたい。

ベトナムアパレル市場の大転換│製造拠点から世界トップの消費市場へ | VietBiz(ベトビズ)

 

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ベトナムの有望な「ごみ処理問題」を解説!

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ベトナムの有望な「ごみ処理問題」を解説!

はじめに

ベトナムの人口は年々増加しており、2040年には日本を追い抜くと言われている。それに伴い、経済発展が著しい。都市化や工業化が急速に進んでいるため、まさに新興国といえる。しかし、生活様式の変化や消費の拡大の裏には廃棄物処理のインフラ整備が追いついていなったのである。今回はベトナムのごみ問題について解説する。

ごみの分類について

ベトナムの廃棄物は大きく分けて4種類

生活廃棄物:日常生活で生じる廃棄物

産業廃棄物:事業活動によって生じる廃棄物

建築廃棄物:建設、改築、解体工事によって生じる廃棄物

医療廃棄物:医療行為によって生じる廃棄物

ベトナム天然資源環境省、環境総局によると生活廃棄物と産業廃棄物の量が特に多いと言われている。

都市部と農村部での排出量

農村部の人口は都市部の2倍であるが、廃棄物の排出量は都市部が国内の55%とはるかに多い。中でもホーチミン市ハノイ市の排出量は国内の33.6%と圧倒的割合を見せている。

廃棄処理方法

ベトナム廃棄物処理施設数は1322であり、内訳は埋め立て場68.4%、廃棄物焼却炉28.8%、コンポスト処理2.8%。

埋め立て

莫大なコストがかかる上に環境汚染につながっていく。近隣の住民からの抗議も見られるため、この処理方法は変革が必要だと思われる。

焼却

ベトナムでは大半の焼却炉が技術の要件を満たしていない。人材育成や正しい機械操作、メンテナンスコストの低下など問題は山積みである。

コンポスト処理

これは有機性廃棄物を微生物肥料に変換する方法である。一見環境に優しく見えるが、この方法は世界では禁止することが推奨されている。なぜなら、セルロース繊維が多く含まれ、これが土壌の呼吸能力を低下させる。

今後のベトナムのごみ処理問題

廃棄物処理市の発展には3つのポイントが関わってくる。

1、高度な廃棄物処理技術が求められている

2、ベトナム人は日本の技術を信じている

3、ベトナム政府は廃棄物処理問題に積極的

最後に

今回はベトナムのごみ処理問題について簡単に解説した。

詳しくはこちらの記事を参考にしていただきたい。

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ベトナムに輸出可能な果物と注意点!

はじめに

近年、スーパーにてベトナム産の果物を多く見るようになってきた。その一方でベトナムは日本産の果物が徐々に人気になってきている。今回はベトナムに輸出できる果物とその条件について解説する。

輸出可能な果物

ベトナムに輸出できる果物は以下の3種類である。

1、リンゴ

2、日本ナシ

3、温州ミカン

それぞれの解説をする

リンゴ

リンゴの輸出は2015年9月に解禁となった。これは日本からベトナムに輸出できる初めての果物であった。解禁当初は収穫まで袋がけを行うなどの植物検疫条件が課されていたただ、2019年12月にはその条件は免除され、低温処理という条件が加わった。

自国でもリンゴを生産しているものの、甘さや大きさが日本のリンゴには劣ってしまう。日本のリンゴは大きて甘いことから、贈答用として需要がある。また、価格は自国の果物と比べても高く設定されている。しかし、富裕層を中心に人気が高くなっている。また、日本産のリンゴをベトナムに輸出する際の関税が0%のため今後もさらに増えてくることが予想される。

日本ナシ

2017年1月に輸出が解禁された。条件としては害虫防止のために低温処理や防除措置、袋掛けのどれかが求められている。ベトナムにおいてナシはほとんど輸入に頼っている状態である。特に中国産の梨は安く、ローカルな市場でよく売られている。

温州ミカン

2021年10月に解禁された。条件は生産場所でのミカンバエ未発生が確認されたかどうかである。温州ミカンは台湾や中国に輸出されることが多いが、これからはベトナムが増えてくると思われる。

ベトナムにも温州ミカンに酷似じたマンダリンオレンジが生産されているいたり、緑色のオレンジが栽培されていたりと柑橘系の受けは良好だと思われる。

輸出できない果物

現在、上記の果物以外の品目はベトナムへの輸出ができない。これについては今後の農林水産省ベトナム当局との交渉によって増えるかもしれない。

最後に

今回はベトナムに輸出可能な果物について解説してきた。

詳しくは以下の記事を参考にしていただきたい。

【2021年版】ベトナムへの果物輸出:輸出可能な品目と手続 | VietBiz(ベトビズ)

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ベトナム スマートシティの今後

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ベトナム スマートシティの今後

はじめに

スマートシティはとは「ICTなどを用いて人々の生活や地域の活動とサービスの効率をよくする、地域の競争率を向上する革新的な都市であり、将来の開発計画を維持する」と定められている。ベトナムでは現在、スマートシティの開発が進められており、日本企業によるノウハウの提供などの期待が高まっている。今回はベトナムのスマートシティの今後について述べていく。

スマートシティ開発

2030年までにべトナム人口の50%が都市部に住むと予想されている。しかし、都市化に伴う人口密度増加や、交通渋滞、大気汚染などの多くの問題が想定される。それらの問題を解決する方法としてICTを用いたスマートシティの開発は重要となってくる。スマートシティを構成する産業の一部を紹介する。

エネルギー

発電所や送電網へのIT適用は重要な事項になってくる。再生可能なエネルギーの需要が高まっている今、スマートなエネルギーの活用・運営は持続可能な発展に貢献すると思われる。

AIとビッグデータはスマートシティの基盤となる。交通や治安などの多岐にわたる部門での可能性が見られ、リアルタイムでのアクセスや大量のデータ処理をできる必要がある。

地方政府の動向

スマートシティの開発を策定している地域は38か所あるが、ほとんどの地域で、まだ計画段階である。ハノイ市では米国のテック大手の子会社を通して電子行政との開発に注力している。ホーチミンではバスの切符代わりにICカードを用いる実験を進め、日常生活のデジタル化に取り組んでいる。

今後の動向

ベトナムの不動産会社はスマートシティ開発のために外国の企業と協力する傾向がある。しかし、現地のレベルはまだ水準が低いと思われる。また、現地の工業団地の多くは基本的な生活インフラがあるのみでIT技術における運用は不十分である。そこでベトナムの不動産の動きが活発になることがスマートシティの発展に繋がっていく。

最後に

〈大予想!〉ベトナム経済の2022年

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はじめに

2021年の11月のベトナムの国会において、2022年のGDP成長率+6~6.5%を目指すことが定められた。ベトナム経済の2021年は前半こそ、鉄鋼業・建設業中心に高い成長率を記録した。しかし、後半は新型コロナウイルスの影響で大きな経済打撃を受けた。本稿では2022年のベトナム経済について予測していく。

 

2022年のベトナム経済の可能性

上記の通り、2021年の後半は新型コロナウイルスの影響によりロックダウンが行われた。それにより飲食やサービス業を始め、経済成長は大きく失速した。ただ、ワクチンの接種率も日々上がってきている。11月末には国民の約7割が一回目接種、約5割が2回目接種を終えていた。これは新型コロナウイルスの脱却につながっていくと思われる。そのため、GDP成長率+6.0%という目標が設定された。

追加された詳細な目標

2022年経済開発においては、マクロ経済における各指標の詳細な数値目標が定められた。今回はその中で追加された項目についてみていく。

GDPに占める製造業の割合」、「農業就業者の割合」、「都市部の失業者」、「1万人当たりの医師数・病床数」の4項目が新たに設けられた。これは新型コロナウイルスの影響から医療体制の整備をする必要性が見られたことや、都市部への人口流入と格差の拡大が問題となったことなどの背景がある。

国際金融機関による予測

世界銀行ベトナムGDP成長率が+6.5~7%になると予測した。これはベトナムのコロナ対策から、コロナ脱却し2022年は経済回復するとみられたことからである。アジア開発銀行は同様に+6.5%成長すると予測された。

まとめ

ベトナムは輸出収益が経済成長を引っ張ってきた国である。米国や中国がコロナ回復してきていることから、ベトナム輸出産業がこれまで以上に成長すると思われる。また、各国からワクチンを買い入れていることから、ワクチン接種を進めてコロナ脱却をする見込みである。

引き続きベトナムの経済に注目である。

詳しくはこちらの記事を参考にしていただきたい。

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ベトナムPDP8再び見直しへ

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はじめに

ベトナム政府は第8次国家電力マスタープラン(PDP8)原案を見直すこととなった。ベトナムのファム・ミン・チン首相は国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)首脳会合で、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質0を目標にすると表明した。今回は表明内容をもとにPDP8の動向や脱炭素の動きを整理していく。

 

石炭火力発電の割合を減らす

2021年9月に公表したPDP8草案では新たな石炭火力発電の開発計画を減らし、国内の石炭火力による電源構成を減らしていく方針を示している。そのため太陽光や風力といった再生可能エネルギーの拡大が重要となってくる。

PDP8草案見直しへ

同年11月の国家電力に関する会議では政府の指導者たちがPDP8を改訂し、すぐに実行に移行することを要求した。現地メディアによると北部・中部・南部における電力の需給を保つ必要があると主張された。また、地域差における送電線の不足が問題となっている。現在は設備投資が必要となってくる。

石炭火力開発をゼロに

ベトナム商工省はPDP8では「電力プロジェクト」「優先プロジェクト」の基準をより明確にする見通しである。国内の電力系の動力源の水準を定め、電力比率が100%に達しない場合は電力供給を確保するための管理計画も視野に入れている。さらに、石炭火力発電における新たな開発は認めないという方針が出された。

脱炭素、カーボンニュートラルの前進

ベトナム政府は2050年のカーボンニュートラルを目標に今後は再生可能エネルギーの開発を進めていくことが示された。ベトナムでは電力不足が続き、石炭火力発電に重きを置く傾向がある。これからはCO2を回収し、再利用するというカーボンニュートラルが注目である。

最後に

本稿ではPDP8の見直しとともに石炭火力発電からの脱却について述べてきた。ベトナム再生可能エネルギーの開発は日々進んでいっている。今後に注目である。

詳しくはこちらの記事を参考にしていただきたい

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