ベトナムの医薬品:広がる市場と高まるニーズ
はじめに
現在のベトナムは長期的な人口増加、経済発展、富裕層・中間層の増加などによって生活様式や疾病構造の変化などが見られてきた。その傾向は医薬品における需要も大きく変わってきていると考えている。今回は医薬品市場の現状と今後の展望、日本企業進出の可能性について考察していく。
現在の医療事情
世界保健機関(WHO)によれば、平均寿命は76歳であり日本の平均寿命の82歳からは大きく差が出ている。疾病構造では1990年に26%であった感染症は、2017年に10.5%までに低下した。感染症の割合が減っている状態は先進国に近くなっている。
また、死亡要因は脳血管疾患や虚血性心疾患、肺癌といった心血管疾患の割合が高い。経済発展に伴う生活習慣病の悪化なども原因と言われている。
市場規模
イギリスの調査会社によるとベトナムの医薬品市場は2021年の77億USドルから2026年には161億USドルまで拡大するとの予想がされた。また、2016年~2023年にベトナムの医薬品市場は年平均成長率+11.05%になる見込みである。ベトナム国民1人当たりの医薬品支出は2020年に50USドルになるとも言われている。内訳では心臓系、抗生物質、腫瘍が大半を占めている。
しかし、現状は寡占化が進んでおらず中小企業が中心となっている。医薬品メーカーは多いが、市場は細分化されている状態である。
輸入に依存
ベトナム国内で販売されている医薬品のうち80~90%は原材料に頼っている。輸入先は中国やイギリスからが多く、伝統的な医薬品やジェネリック医薬品の製造に使われる原材料が大半を占めている。
ベトナム進出の可能性
ベトナムの医薬品市場は拡大する見込みや大きなニーズはあるものの、原材料調達の輸入依存をしている現状である。日本の製薬会社あコストを抑えるためにもベトナムなどの新興国に拠点を置くことが望ましいと考える。今後のベトナムの医薬品市場にも注目である。
最後に
今回はベトナムの医薬品市場について解説してきた。
詳しくはこちらの記事を参考にしていただきたい。
ベトナムのコロナ禍における外食産業
はじめに
ベトナムでは年々外食業界の市場規模が増大している。2018年から2019年は34.3%も上がったのである。2020年、2021年はコロナ禍により影響を受けたものの、感染対策が功を奏し、今は徐々に戻りつつある。コロナが終息した際の外食産業はさらに拡大するといわれている。今回は期待が高まるベトナムの外食産業について簡単に解説していく。
外食産業のデータ
元々外食を好む傾向のあるベトナムでは路上の屋台から高級レストランまで昼夜問わず繁盛している。現地の調査会社によればベトナム国内には540,000の飲食店と22,000のカフェやバーがある。さらに統計局によると飲食業・宿泊施設市場の売上高は年々上がっており、2019年には約2兆7559億円の市場規模になっている。
外食産業の特徴
前述の通り、ベトナムには幅広い価格帯の飲食店がある。これらは大きく2つに分けることができ、「個人経営」と「チェーン」である。
個人経営
大体の個人経営店は一回がレストランとなり、2階がお家になっている場合が多い。ほとんどはベトナム料理であるフォーやブン、コンタムなどのメニューである。
チェーン
チェーンも2つ分けられ「ベトナム独自のブランド」と「海外のブランド」である。いずれもチェーン店ならではのどこに行っても同じ味や丁寧な接客を売りにして個人経営店と差別化を図っている。
デリバリー市場
日本でいうところの「出前館」や「Uber Eats」といったお弁当配達市場も高成長が続いている。ベトナムではGrab Foodというプレイヤーが市場の6割を占めている。先のロックダウンでもデリバリー市場はニーズを高めていた。
日本料理の人気
ベトナムにおいて外食の平均支出額がおよそ350円であるのに対し、日本食は1200円と大幅に高くなってしまう。そのため富裕層がターゲットとなっている。また、日本職のお店が安全性と高品質に重きを置いているため、健康志向のベトナム人には好まれる傾向がある。
最後に
今回はベトナムの外食産業について簡単に解説してきた。
詳しくは以下の記事を参考にしていただきたい。
ベトナムの外食産業:ポストコロナにおける日本企業の戦略 | VietBiz(ベトビズ)
特定技能2号の対象職種追加による人材市場の影響
はじめに
2021年11月に2業種(①建設 ②造船・舶用工業分野)でしか認められなかった特定技能2号への移行を、介護を除く全ての職種で認める方針となった。本稿は制度改定のポイントと今後追加されると思われる分野について述べていく。
特定技能1号と特定技能2号
14分野の受け入れ
特定技能1号の受入が認められているのは以下14業種である。
1.介護業
2.ビルクリーニング業
3.素形材産業
4.産業機械製造業
5.電気・電子情報関連産業
6.建設業
7.造船・舶用関連産業
8.自動車整備業
9.航空業
10.宿泊業
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業
制度改正により介護を除く全ての業種での外国人受入が可能になる
制度改正から注目されるポイント
特定技能2号は「熟練した技能」の有する必要があるので移行する際には以下のポイントが重要となってくる。
特定技能1号からの移行条件
移行するには試験が必要になることが分かっている。まだ、どのような試験内容になっているかわからないが、その難易度も注目である。
特定技能1号に追加される分野はあるのか
今後の受入可能分野が追加される可能性も十分にある。そうなったときにどの分野が追加されるのか予想していく。
小売業
コンビニやスーパーで働く外国人は多いが週28時間までという縛りがある。この業界は以前から多くの外国人が働いているため可能性は高いと思われる。
物流業
コロナ禍において人材不足がより見られた。今後はネットショッピングなどにより、物流のニーズは高まっていくので運転手や荷分け作業の人材が必要になっていくと思われる。
林業
農林水産業の中で林業のみ特定技能の対象になっていない。これは危険を伴う作業故であるが、林地の木材が「伐採期」であり人材の必要性は高くある。
最後に
各関連省庁は急ぎで特定技能2号に移行する際の条件設定を進めており、来年には大きな改正が行われる見込みである。今後の外国人人材に注目である。
特定技能については詳しくはこちらの記事も参考にしていただきたい。
特定技能2号の職種追加:ベトナム人材市場に与えるインパクト | VietBiz(ベトビズ)
ベトナム進出には欠かせない”チーフアカウンタント”とは
はじめに
ベトナムを始め、海外進出において現地の優秀な人材の確保は欠かせない。ここでいう「優秀」とは仕事上のスキルを含め、日本企業のマナーや価値観、言語による意思疎通などが重要となってくる。その中でも特に必要な人材が「チーフアカウンタント」という役職である。今回はその役職について解説していく。
チーフアカウンタントとは
直訳すると経理部長であるが、単なる経理部のリーダーに留まる役職ではない。企業の会計部門をマネジメントする役割や支払いの承認、決算書の作成、書類の署名などを行う。
チーフアカウンタントは会計資格の1つであり、筆記試験の他にも学歴や実務経験、さらには講座の受講が必要となってくる。要は知識に加えて経験も求められる資格ということである。
外資企業は2年目からチーフアカウンタントの採用が義務付けられているので、ベトナムに進出の際はもはや登竜門となってくる。
求められるスキル
試験をパスすることも条件の1つであり、ここが1番の鬼門に感じる。しかし、チーフアカウンタントの試験の難易度は高くなく、何度でも受けることができる。そのため合格しやすいのがチーフアカウンタントの特徴になっている。ただ、取得難易度とは反対に会社からの責任は大きくなっている。経理が円滑かどうかはチーフアカウンタントに依存しいる。よって無能なチーフアカウンタントの場合は経理が滞るだけでなく行く行くは税務申告等の規定違反になっているかもしれない。
そのほかにも日本の会計制度に関する知識や税務調査の対応経験、お金の管理ができる人柄など非常に高スペックなスキルを求められる。
最後に
今回はチーフアカウンタントのについて解説した。チーフアカウンタントは会社設立から1年目は義務ではでない。よってその1年で必要な人材を見つけることが必須となる
詳しくは以下の記事を参考にしていただきたい。
日越首脳会談から見えたベトナムビジネスの今後
はじめに
2021年11月22日~25日にベトナムのファム・ミン・チン首相が来日されました。安全保障分野や新型コロナ(COVID-19)への対応など多くの分野で協議が行われました。そのなかでもベトナムビジネスの分野に絞って考察しました。また、今回の来日にあたって、ベトナム現地メディアでも大きく報じられたので付せて解説していきます。
今後のベトナムビジネス優先分野
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策における協力
今回の首脳会談を通して、日本政府がベトナムに対して150万回分の新型コロナウイルスのワクチンを追加付与することが公表されました。日本は既に付与したワクチンを含めると約560万回分に上ることになります。塩野義製薬とは飲み薬の治験をベトナムで行うことや、ワクチンの製造技術移管に向けての策などが協議されました。
2国間おけるデジタル社会の今後
ポストコロナにおいてはデジタル社会が重要な役割となっていくことが確認されました。具体的にはデジタルトランスフォーメーションや5G、情報セキュリティの協力などです。また、ベトナムのスマートシティの開発には実証実験や外資系企業の参入もされています。日本企業においては具体的な案形成の調査が必要になってくると思われます。
持続可能なエネルギー開発
現在、ベトナムでは太陽光発電やバイオマス発電といった将来が有望である再生可能なエネルギーの開発に積極的に取り組まれています。同国では電力需要も増加しており、大型石炭火力発電の開発を進める傾向がある新興国には、再生可能エネルギーへの試みは評価が高まると予想されます。
まとめ
今回のベトナム首相の来日には、日本との引き続き友好的な協力関係を築いていくことが確認出来ました。その中には新型コロナウイルスへの対策やデジタル経済についてなどお互いの意思を把握できたことは有意義な期間であったと言えるでしょう。
今回は、日越首脳会談から考察する有望なビジネス分野について解説してきました。詳しくはこちらの記事を参考にしていただきたいです。
ベトナム首相来日:日越首脳会談から考察する有望ビジネス分野 | VietBiz(ベトビズ)
ベトナム乳製品市場参入の見通し
はじめに
ベトナム人の食品衛生と栄養への意識は年々高まっており、牛乳や乳製品の需要が上がっている。ベトナムは日本と違って、牛乳などの乳製品を取り入れることは習慣付けられていなかった。しかし、近年では生活に欠かせない物とまでなった。今回はベトナム乳製品のニーズや乳製品市場参入の可能性について考察する。
市場規模
2020年のベトナム乳製品市場の規模は58.6億ドルと推定され、前年度と比べて8.3%の成長が見えた。また、10年間ではヨーグルトやチーズを中心に、平均で11%の成長率を維持している。乳製品市場はコロナ禍でも影響をあまり受けなかった。少し下がった消費量は教育機関の閉鎖が原因とされるものであり、再開されれば増加傾向に戻るといわれている。
ベトナム消費者のニーズ
ビーン・サーベイの調査によると毎日牛乳を購入する人は64%いた。そこには習慣や健康による購入理由が大きく、製品ごとでは「無添加」や「良品質」があげられた。
また、日本文化とは違う点もある。例を挙げると「コンデンスミルク(加藤練乳)」がベトナムでは定番である。日本ではイチゴにかけるかお菓子作りに使うのかの2択のように考えられる。一方ベトナムでは幅広く使われ、コーヒーなどにも使用される。こういったベトナム人によるニーズを把握することも重要である。
参入のポイント
乳製品市場に参入する際の重要事項を羅列していく
・安全性と高品質を全面的に出す
・ブランディングに力を入れる
・ファミリー向けに宣伝し、親も取り込む
未開拓市場
牛乳は消費者の嗜好があり、新規獲得が難しいとされているが、ほかにチャンスがある市場がある。高齢者の増加により、「粉ミルク」は需要が上がってきた。今後も伸びると思われている。他にもアイスクリームやチーズは多くの機会を秘めていると言える。
最後に
今回はベトナム乳製品市場参入の見通しについて解説してきた。詳しくは下記の記事を参考にしていただきたい。
ベトナム 風力発電市場参入の可能性
はじめに
ベトナムには南北に長く、3,200㎞の海岸線と訳100万㎢の総海域がある。これにより周辺の国よりも風況が良いとされている。また、ベトナム政府も再生化のエネルギーの開発とカーボンニュートラル達成への取り組みを進めており、国をあげて進められている。今回はベトナムの風力発電市場に参入できる可能性について考察していく。
ベトナムで発電事業を行う上で外資規制は存在していない。そのため参入可能なのである。この場合、ほとんどが独立系発電事業者が多い。ただ、送配電・小売事業は参入不可であり、ベトナム電力公社(EVN)の垂直結合となっている。
FIT制度(固定価格買取制度)
ベトナムの風力発電市場はFIT制度が設けられており、首相決定39号により価格が決められている。この制度は2021年10月を期限とするものであり、買電契約を交わしたプロジェクトは146案件ある。しかし、建設が完了したのは4案件であり、建設されず何も始まっていない案件が約42%にあたる62業者もいた。FIT制度の受けられなかった事業者は個別で買い取り価格を決めることになっているが収益かの低下が懸念される。
優遇措置
風力発電を開発する投資家には、優遇措置が適用される。具体的には法人税、輸入税、土地賃貸税、付加価値税の減税や免税である。
今後の見通し
これからは「洋上風力発電」、「DPPA」がキーワードになってくる。
洋上風力発電
世界銀行の調査によると、ベトナムは洋上風力発電に高い希望があるとされている。さらにコストの急減にもつながり、外国投資家には大きな利点となる。
DPPA(直接電力買取契約)
ベトナム政府はDPPAの正式な導入に向けて議論を進めている。DPPAが可能となれば、従来のベトナム電力公社が唯一の購入者となるところを、電力需要者がいれば直接買い取り契約を結ぶことができる。
まとめ
ベトナムの風力発電参入の可能性について述べてきた。詳しい説明や今後の課題については下記の記事を参考にしていただきたい。
ベトナム洋上風力、陸上風力発電市場:2045年将来見通し | VietBiz(ベトビズ)