ベトナムのプラスチック市場について

はじめに

ベトナムでは人口が増加しているので、当然プラスチックの消費量も増加している。これと同時に、ベトナムでは都市化・工業化も進行しており、人々のライフスタイルが変化している。プラスチックといっても、ストローのような一般人が普通に消費するものだけでなく、建設用やエンジニアリング用といったものもあるので、ベトナムのプラスチック消費量は人口増分以上に増加していくと考えられる。

市場規模

2020年のベトナムのプラスチック市場規模は、約200億ドルであった。プラスチックを種類別に見ると、最も消費量が多いのは「包装用」であるが、割合は徐々に縮小している。代わりに、今後は先述した「建設用」と「エンジニアリング用」が増加していくと予想されている。

包装用の割合が低下していくのは、レジ袋の有料化や紙ストローの推奨に見られる世界的な環境保全運動が考えられる。一方で、建設用やエンプラはこのような運動の対象にはなりづらい現状もある。加えて、ベトナムでは都市人口比率(都市部に住む人口の割合)がコロナ禍でも上昇し続けており、新しいマンションやビルが多く建設されている。建設用プラスチックの消費割合が増加するのにはこのような背景がある。

市場の課題➀:原材料の調達が輸入頼り

ベトナムでは国内で十分な量と種類のプラスチック原材料を製造できていない。具体的には、ベトナム国内で製造できる原材料は4種類だが、国内で使用される原材料は30種類を超える。
原材料の主な輸入先としては、韓国、台湾、サウジアラビアが挙げられる。

市場の課題➁:国内の原材料工場が南部に集中

ベトナム国内の原油精製工場(原材料の製造工場)は南部に集中している。中部と北部には、それぞれ1カ所ずつしか存在しない。
そのため、北中部の企業が原材料を入手するのは困難である。

まとめ

ベトナムでは今後、建設用プラスチックとエンジニアリング用プラスチックを中心に、プラスチックの消費量が増加していく見込みである。
市場規模が拡大していき、ビジネスチャンスも多そうなベトナムのプラスチック市場だが、課題が大きく2つ挙げられる。1つ目は原材料の調達を輸入に依存していること、2つ目は国内生産の原材料が南部に集中していることである。この原材料に関する課題をいかに解決するかが、今後の発展の鍵となるだろう。

 

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